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千葉地方裁判所 昭和27年(ワ)39号 判決 1957年3月26日

原告 関観朗

<外六名>

右七名代理人弁護士 松島邦夫

<外三名>

被告 宇都宮日綱

右代理人弁護士 名川保男

被告 宗教法人法華経寺

右代表者 山口寿信

主文

本件は昭和三一年九月四日原告等の訴の取下によつて終了した。

事実

本件につき、被告宇都宮日綱訴訟代理人は原告等の訴を不適法として訴却下の判決(または請求棄却の判決)を求めた。(昭和二七年八月一九日附「本案前の抗弁」、昭和二七年一二月四日、昭和三〇年六月一四日の各口頭弁論調書参照)

原告等訴訟代理人は昭和三一年九月四日訴の取下書を提出したので、当裁判所は右取下書を同月五日被告宗教法人法華経寺に同月六日被告宇都宮日綱に送達したところ、被告法人は異議を申立てなかつたが、被告宇都宮は同年一二月五日取下に異議を述べた。

理由

被告宇都宮は原告等の訴に対し却下の申立をした。このような場合には被告が予備的に本案について請求棄却の判決を求めたとしても、訴は取下によつて終了するのであつて、取下が効力を生ずるために被告の同意を必要としない。このことは民訴二三六条二項の「本案ニ付云々シタル後ニ在リテハ相手方ノ同意ヲ得ルニ非サレハ其ノ効力ヲ生セス」との記載によつて明かである。すなわち、訴訟要件に付ての弁論は本案に付ての弁論ではないし、第一次に訴訟要件に付て弁論し予備的に本案に付て弁論したとしても、それは民訴二三六条二項に定める本案に付云々したことに当らないのである。従つて、本件は原告等の訴の取下書が当裁判所に提出された昭和三一年九月四日、訴の取下によつて終了したのである。被告法人については異議の申立のないまゝ民訴二三六条六項所定の三ヶ月の期間が経過した。従つて、取下に相手方の同意を要するかどうか判断するまでもなく訴の取下がなされた。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高根義三郎 裁判官 山崎宏八 浜田正義)

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